弁理士試験 論文試験の対策、勉強法 1
法的問題処理回路
最近の論文試験では、長文化・小問化など、以前とは異なる傾向になってきています。
しかし、実際に書くべきことは、以前とそれほど大差ないと感じています。
ただし、問われる範囲は、以前よりは少し広がってきているように思えます。
つまり、以前は、メジャーな論点について聞かれることが多かったのに対して、最近は、メジャーな論点にプラスして、これまであまり出されたことがない論点について考えさせるような問題が出題されているような気がします。
ときには、学説等でも割れているような内容について問われます。
では、このようなマイナーな論点が出たときに、どのようにすればよいのでしょうか。
単純に考えれば、覚えるべき論点を増やす、ということです。
とにかく、様々な書にあたって、問われそうな論点を拾ってきて、自分なりに整理しておくことです。
でも、これでは、あまり時間がない受験生にとっては無理難題です。
では、どうすれば・・・
メジャーな論点を再度じっくり噛み砕いてみること。
どういう背景があって、どういう根拠で、どういった結論になったのか。
また、その結果について更なる問題点はないのか。
そういったことをあらためてきちんと考えてみることがいいのではないでしょうか。
メジャーな論点であれば、解説されている本は沢山あります。
違った観点を多く学ぶためにも、そういった本を数種読んで、自分の頭で整理する練習をしておく。
そうすると、学者の方々に比較すれば性能はあまりよくなくても、法的問題処理のためのそれなりの回路が頭の中にできると思うのです。
その回路ができてくれば、これまで勉強したことがないような新たな論点が出題されたとしても、なんとかかんとか論理を組み立てることができると思うのです。
要するに、内容を覚えることに時間的な限界があるのであれば、問題を解決するための枠組み、スキームを身につけておくことがよいのではないか、ということです。
よろしければ参考にして、がんばってください!
引出しの増加・メンテナンス
上記で、新たな論点が出題されたときの対策のために、法的問題処理回路を構築しましょう、というお話しをさせていただきました。
ここでは、自分の引出しを増やし、また、しっかりとメンテナンスしましょう、というお話しです。
最近の論文試験においてはマイナーな論点も出されますが、やはりそればかりではなく、従来からよく出題されているメジャーな論点も多数出題されています。
このような論点については、論文試験向け勉強をされている方々であれば、ある程度、書いてきます。
したがって、基本的な論点、著名な論点については、書き負けないように、しっかりと書けるようにしておく必要があります。
この際、注意すべき事項は、判例・裁判例をベースにした論点については、できるだけ一字一句、そのままの文言を暗記するということです。
メジャーな論点は、答練や過去問を解いている中で何度も出会うため、ある程度は覚えていて書くことができると思います。
ただ、この「ある程度」のままだと、他の受験生の皆さんに書き負けてしまう可能性が高いのです。
なんとなく言いたい事やわかるのだが、自分の言葉で書かれたものと、しっかりと判決文に沿った文言が書かれているのとでは、採点者側の心証は大きく異なると思います。
既にマスターしたと思っていた論点についても、今一度、しっかりとメンテナンスしておきましょう。
こうやってしっかりとメンテナンスをしてはじめて自分の引出しになったと言えると思います。
そして、この自分の引出しをできるだけ増やしていくことが大切です。
先日お話ししたように、新たな論点が出題されても、法的問題処理回路があれば対応可能ですが、やはり知っていないよりも知っていたほうが全体的な処理は速く済みます。
知っていて損はないということです。
したがって、普段から、できるだけ貪欲に、様々な論点に触れ、それを自分でしっかりと噛み砕き、自分のものにしていく作業を継続していってください。
一つでも自分の引出しが増えるほうが、本番は楽になると思います。
よろしければ参考にしてみてください。
答案構成方法
論文試験では、答案構成が非常に重要です。
この答案構成についても人によって様々な方法があるようです。
ざっくり分類すると以下のようなものでしょうか。
- みっちり型: 論文の骨子をすべてきちんと記載。論理展開を明示し、接続詞・条文番号なども記載。実際に論文を書くときは、答案構成をほぼ機械的に文章化するだけ。
- あっさり型: 論文の各章の見出しレベルのみ記載。書くべき分野のみ明示。
- ハイブリッド型: 上記2つの間に位置し、論点やキーワードぐらいは書くが、各々の内容詳細までは記載しない。条文番号は気になる部分だけ記載しておく。
1.は答案構成さえできてしまえば、あとはひたすら書くことに集中できる点、ミスや穴ができることを防止できる点がメリットです。
一方、答案構成に時間がかかり過ぎる点がデメリットです。
2.は答案構成の時間を少なくでき、結果的に、記載量を増やすことができる点がメリットでしょう。
ただし、ある程度、頭の中で論理展開や論点を描くことができなければ、書いている途中に、論理矛盾を起こしたり、ミスや穴につながってしまうリスクがあります。
3.は多くの方が採用する方法だと思います。記載内容・記載量・記載時間どれをとっても無難だからです。条文番号は全て記載しておくなどのオプションも考えられます。
私のほうは、最初の頃から、答練のみならず、本試においても、1.の方法を採っていました。
その結果、答案構成に時間をかけ過ぎてしまい、実際の論文を書くための時間を削ることになり、逆に、ミスしたり、字が汚くなったりすることが多かったです。
3・4回目の論文試験受験あたりから徐々に3.型に移行し、ようやく合格年の5回目のときに、2.型になりました。
どの方法がよいかは各自の性格にもよるので、答練や自宅での全文書き演習時にいろいろと試してみることがよいと思います。
2.の方法は上級者向けだと思うので、初学者の方は自宅での演習時には1.型でじっくり・しっかり書く練習を中心にして、答練時に3.型を実施することがよいと思います。自宅時には理解を深め、論理展開を勉強することができるからです。
よろしければ参考にしてみてください。
効率よく勉強を進めるためには、受験機関の利用も一つの手です。
以下に紹介していますので、ご参考までご覧ください。